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肉離れ

肉離れとは

筋肉の断裂による怪我では、患部に炎症や内出血、腫れ、激しい痛みが生じます。大抵は筋肉の一部が断裂するケースが多いですが、時には筋肉が完全に切れてしまうこともあります。
特に注意が必要なのは成長期に起こる場合です。お子様が肉離れを起こした際、しばらく受診せず適切な治療が遅れることが多々あります。痛みを我慢しながら運動を続けていたというケースが多く、さらに痛みが強くなって初めて受診し、治癒までにかなりの時間を要します。また、成長期には筋肉と骨が付着している箇所が柔らかく、強い力で引っ張られると剥離骨折を起こしやすい傾向があります。新生児や幼児では筋力が弱いため肉離れを起こすことはほとんどないですが、小学校高学年になると注意が必要です。
ダッシュやジャンプなど急激な負荷後に痛みを感じた場合は、早めに医師の診察を受けることが重要です。早めに治療を開始すれば早く治りますし、その後の再発もリスクを下げることができます。

肉離れの症状

成長期のお子様やアスリートは、太ももの後ろ側にある大腿二頭筋や太ももの前側の大腿四頭筋、太もも裏側のハムストリングスに肉離れを起こしやすい傾向があります。一方、中高年の場合は、ふくらはぎの腓腹筋に肉離れを起こしやすくなります。特に腓腹筋の肉離れはテニスなどのスポーツでよくみられ、「テニスレッグ」とも呼ばれることがあります。

肉離れの原因

筋肉に急激な負荷がかかる動作や、筋肉の疲労やもともとのかたさ、周囲の関節の可動域制限などが原因で、筋肉が断裂することがあります。運動前に準備運動や動的なストレッチを行うと、筋肉が柔軟になり周囲の関節可動域が改善し、肉離れのリスクを下げることができます。普段からこまめにストレッチをすることで筋肉の柔軟性を保ち、関節の動きをよくしておくことも大切です。

まずは正しい応急処置を

直後は圧迫や挙上

最初に行うのは、患部の圧迫や挙上です。腫れが悪化しないようにサポーターやテーピング、ラップなどを用いて適度に圧迫をかけておきます。医療機関への移動のための車を待つ間は、できるだけ横になれる場所で足を高く持ち上げた下肢挙上姿勢を取ることで、痛みを和らげることができます。膝を軽く曲げて足を高く持ち上げる姿勢を心臓よりも高い位置で維持することで、腫れを予防したり、軽減する効果が期待できます。
肉離れが起きた場合で熱感(あたたかさ)があれば、歩かずに適度に患部を冷やすことが重要です。最近の知見では筋肉を冷やすこと自体にマイナス要素があるとも言われるためその都度医師にご相談下さい。腫れや熱感が強い時は濡れたタオルなどを使い、適度なアイシングを行って病態の悪化を抑えます。ただし、過度な冷やし過ぎは筋肉を硬直させ、血行を悪化させる恐れがあるため、20分以上は冷やしすぎないようにしましょう。

患部に負担をかけない

移動中は、肉離れを起こした部分に体重をかけないように心掛けてください。車までの移動では、短い距離であってもおんぶや肩を貸してもらって移動するようお願いします。

肉離れの検査・診断

超音波(エコー)検査、MRIなどで状態を把握します。肉離れや血腫(血のかたまり)、剥離骨折の有無を確認し、軽度か重度かを判定し、それに応じた治療方針を立てます。肉離れと言っても、筋肉そのものが損傷した場合と筋のつながり部分が損傷した場合で治療期間が大きく異なります。MRI検査が必要な場合は連携する医療機関をご紹介します。

肉離れの治療

肉離れの治療において、基本的なアプローチは安静と固定です。肉離れは肉眼で見えない部分で起こる切り傷や裂けた状態を指します。このような場合、早期の回復を促進するために、肉離れの部分を固定することが重要です。初期から程度によっては3週間程度は固定し、修復をサポートします。例えば、筋肉の線維が切れた場合、しばしば痛みが早く消失することがありますが、それだけでスポーツや重労働を再開するのは避けるべきです。再び肉離れを起こし、難治性となるリスクが高まります。
怪我の部分を早く再生させるためには、血行の改善も欠かせません。当院では受傷直後から超音波治療やハイボルテージ電気刺激治療を始めます。損傷した組織が深部に及んでいる場合や、誘発物質が発生している箇所に対して、超音波治療や高電圧の電気刺激を与える高周波療法を用いて組織の修復を促進します。受傷後早い段階からこれを始めることで痛みや腫れが早く改善し、早くスポーツ復帰できることが証明されています。
慢性期に筋肉が硬くなってしまった場合には、体外衝撃波治療が適用されることもあります。リハビリでは、早期回復に役立つ身体の使い方やストレッチ法なども指導します。